5つの肥満遺伝子をご紹介
ダイエット方法はいろいろあります。
- ケトジェニック食事(低糖質)
- ローファット食事(低脂質)
- 有酸素運動
- 筋トレ
- オペ
ダイエットには人それぞれの体質に合わせて、似合った方法を取った方が結果が出ると結構言われますが、自分の体質になったダイエット方法は如何に決めるのでしょうか?
人の体質というのは、例えば基礎代謝が高かったり低かったり、過食したり高カロリー好んたり、内臓脂肪が溜まり易かったり皮下脂肪が溜まり易かったりします。その体質によって太り方もそれぞれ違いますし、その太り方に沿った解決策からダイエットプランを設計しなければいけません。
「遺伝子とは」記事の中でも言ってたように、人の体は細胞で出来ており、細胞のキャラは細胞の中のタンパク質によって決められています。
タンパク質は実際細胞活動の作業者であり、そのタンパク質の設計図は遺伝子の中に書かれています。
例えば脂質代謝を行うタンパク質の動きが悪くなったり、もしくは発現量(作られる量)が少なかったりすると、その人が脂肪を消化する能力が低いので、高脂質の食事をすると太りやすくなります。
そこで、食事制限ではケトジェニックな食事を選択するのではなく、ローファットな食事でダイエットするのが適切になります。
その脂質代謝に関わるタンパク質の状態は、遺伝子を解析する上で判明することが出来ます。
これらの肥満とダイエットに最も関わっている5つの遺伝子について紹介していきます。
FTO:高カロリー嗜好・過食傾向遺伝子
FTO遺伝子は最新の分子生物学の研究において、人種を越えて肥満との関係が明らかになっている遺伝子の一つで、脂肪量と肥満に関係し、無意識に高脂肪・高カロリーのものを選んでしまう傾向のある、「高カロリー嗜好」「過食傾向」タイプの遺伝因子です。
FTO遺伝子は2007年のサイエンス誌で発表され、初めて肥満は遺伝子に関わる事として世の中に知らされた。
A common variant in the FTO gene is associated with body mass index and predisposes to childhood and adult obesity. Science. 316(5826) 889-94, 2007
FTO遺伝子は様々ありますが、主にダイエットに関わっているのは「rs9399609」と「rs1558902」になります。
FTO(rs9399609)遺伝子
高カロリー嗜好遺伝子です。
ジャンクフード(ピザ、ポテト、フライドチキン)に対し、人は何故そそられるのでしょうか?
唐揚げ、豚カツ、二郎系ラーメン、たまらないですよね…
それは全部遺伝子からの呟きです。
FTO(rs1558902)遺伝子
過食傾向遺伝子です。
飲食店で丼やラーメンを注文すると、遂に大盛や特盛を頼んでしまう。
心で分かってても、お腹が100%、更に120%にならないと気が済まない。
ついに無意識に食べてしまう事も、遺伝子があなたを操作しているからです。
ADRB3:内臓脂肪型遺伝子
インスリン抵抗性と関与する遺伝子で、糖質代謝の働きが悪く、基礎代謝も低い「内臓脂肪型肥満」の遺伝因子です。
β-3アドレナリン受容体遺伝子(ADRB3)は糖質の代謝が苦手の傾向があり、リンゴ型体系の方には多いです。
日本人では、約34~39%の人がこの遺伝子の変異を持っており、持たない人よりも基礎代謝量が一日あたり約200kcal低くなります。摂取した糖分をインスリンの分泌により効率的に内臓脂肪に転換して太ってしまいます。
男性には多く、本人は「そんなに食べていないのに自分は太りやすい」というイメージを持っており、空腹に弱く、お腹が空くとイライラしやすいです。リンゴ型に太ってる特徴があり、ダイエットをすると内臓脂肪が減りやすく、体重の変化も出やすいですが、リバウンドもしやすい傾向があります。
UCP1:皮下脂肪型遺伝子
熱生産タンパク質の遺伝子で、脂質代謝の働きが悪く、基礎代謝も低い「皮下脂肪型肥満」の遺伝因子です。
脱共役タンパク質 1 遺伝子(UCP1)は脂質の代謝が苦手の傾向があり、洋梨型体系の方には多いです。
日本人では、約25%の人がこの遺伝子の変異を持っており、持たない人よりも基礎代謝量が一日あたり約100kcal低くなります。血中の脂肪量が減りにくく、脂肪を燃やす効率が一般の人よりも悪い傾向があります。
女性には多く、皮下脂肪が蓄積されやすく、腰周りや下半身に脂肪がつきやすくなる傾向がみられます。更にこの遺伝子を持っていると平熱が 低体温(36.3度以下)の方が非常に多く 冷え性を持っている場合も多くあります。
ADRB2:やせ型遺伝子
標準より基礎代謝高くなるやせ型の遺伝因子です。しかし、タンパク質の代謝の働きが悪く、一度太ると痩せにくいタイプです。
Β2受容体遺伝子(ADRB2)は、エネルギーの代謝が早く、太りにくい 体質です。
日本人の約16%がこの遺伝子の変異を持っていて、変異がない場合よりも安静時代謝量が200kcal/日高く、エネルギー消費が多いので、通常痩せています。
しかしタンパク質が消耗されやすく、筋肉が付きにくく、基礎代謝が下がってくる30歳を過ぎると急激に太る傾向があります。特に痩せてる人が自分はどれだけ食べても太らないって思いこんでる内に、年を取っていつも間に太ってしまうというパターンです。
ダイエットを効率に結果出すにはこの5つの遺伝子を見る
過食傾向があるかどうかが分かる
FTO(rs9399609 & rs1558902)遺伝子に変異がある場合
- FTO(rs9399609):食べ物のカロリーを気に掛けましょう!
- FTO(rs1558902):食べ過ぎには注意しましょう!!
食事コントロールの方針が分かる
ADRB3、UCP1、ADRB2遺伝子に変異がある場合
- ADRB3:糖質を減らしましょう!→ケトジェニックダイエット
- UCP1:脂質を減らしましょう!→ローファットダイエット
- ADRB2:高蛋白質を取りましょう!
どういう運動したら結果が出やすいかが分かる
ADRB3、UCP1、ADRB2遺伝子に変異がある場合
- ADRB3:筋トレと有酸素運動を中心に内臓脂肪を減らしましょう!
- UCP1:筋トレと有酸素運動を中心に皮下脂肪を減らしましょう!脂肪吸引や脂肪冷凍術の適正も高いです!
- ADRB2:筋トレを中心に筋力を上げて行きましょう!
体のどこが太りやすいかが分かる
ADRB3、UCP1遺伝子に変異がある場合
- ADRB3:お腹、特に上腹部に硬い脂肪がパンパンと付きやすい(リンゴ型)
- UCP1:太もも・お尻や下腹部にやわらかい脂肪がブニョブニョと付きやすい(洋ナシ形)
基礎代謝レベルが分かる
ADRB3、UCP1、ADRB2遺伝子に変異がある場合
- ADRB3のみ:200kcal低い
- UCP1のみ:100kcal低い
- ADRB3+UCP1:300kcal低い
- ADRB2:200kcal高い